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ショート・ストーリー「ロックン・ロールの処方箋2012e」 

1996年12月22日、日曜日。
梅島の駅前に降り立った。

店のカウンターに座る。
スクリーンのビデオではコンピュータのプログラマーのような顔をしたクラプトンが
アコースティックで奏ってる。
アンプラグドだ。

今夜もユーコトピアは とってもイカれた、いやイカしたライヴハウス。

-----from「Marrige Blues」1997.7.1


20年ほど前、友人のバンドが定期的にライヴをしていた時期があったのでYukotopiaには足繁く通った。
その佇まいや独特な雰囲気からアイデアがどんどん生まれ、
Yukotopiaを舞台に彼らを登場させるストーリーをアルバムのライナー用に書いたのだが、
同時並行のストーリーも生まれ、結局1冊のブックレットとして制作した。



2012年5月26日、土曜日。
久しぶりに梅島駅に降り立った。

整理番号はまさかの1番。
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それほどまだ重篤だということなのか?


開場。

最前列を目指しステージに向かう。

右手にアルミの松葉杖が見えた。

PANTAの公式カメラマン シギー吉田氏が、まるで待合室のような佇まいで座っている。

導かれるように隣の席へ。

こうやって同席の機会に恵まれた。

桜坂での写真展のこと、復興支援写真展のこと、もちろん頭脳警察・PANTAのこと。

同世代ということもあってか、話は尽きなかった。

「Rock'n'Roll Treatment」が大好きだと告げると、
何と今日のオープニングナンバーとして「予告宣言」されているとのこと。

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いつもは正面から入ってくるシェイカーの音は 今晩に限って、
イカれたスピーカーのように、片方からしか聞こえてこない。

ビデオのギターも やけに近く聴こえる。
それもそのはず、すぐ隣の席から聴こえてくるのだから。
注意深く見渡すと、コーナーのベーシストが女の子達に声を掛けながら
ウッドベースの真似をして弾いている。
ドラムスは?
ドラムスは というと、どうやらスクリーンの後ろでブラシを叩いてるらしい。

やがてスクリーンが上がり、ギタリストとベーシストの二人は
ドラムスのいるステージにプレイしながら集まってくる。
BGMだと思わせておいて、そいつは いつの間にかブルーズのジャムセッションになり...。

そうやって、今夜も奴らの遠吠えが始まる。

-----from「Marrige Blues」1997.7.1


いつか、こんな感じで始まるステージを見てみたい。
そんな思いで綴ったシーンが、まさか今夜実現するとは。

昔に比べると小奇麗になったYukotopiaで、開演時間を少し過ぎた頃、PANTAと琢己は客席を通り、
そのまま正面からステージに上がった。

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予告通り「Rock'n'Roll Treatment」

Yukotopiaのステージ、目の前でPANTAが唄ってる。

それに呼応するように隣からはシャッターの息遣いが聞こえてくる。

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5年前、立ってるのがやっとだった状態でPANTAのライヴに行った。
そこで「Rock'n'Roll Treatment」を聴いた。
ステージから飛んできたピックが胸に当たり...
思えばあれが最初の処方箋だった。


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「ライラのバラード」は英語ヴァージョン。
来日中のライラ・ハリッド氏の前で初めてこの曲を披露する予定。
それを考慮しての措置と思われる。
場所は京大西部講堂。

そういう姿勢を通し続けてきたからこそ、今だに小規模のライヴハウスの
最前列で聴くことができるのだけど。それはそれで有難い。
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ジェリー・ガルシアに見守られ「時代はサーカスの象にのって」「万物流転」も奏ってくれた。


2部構成のステージ、アンコールも終えステージからPANTAが降り
客席を通り帰って行く。
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握手を求めると、快くそして力強く応じてくれた。
そいつは
「もう処方箋、出さねえから。の替わり定期的に通えよな」
というメッセージに感じた。


やがて店内の照明が点き、BGMにヴェルヴェッツの「Ocean」がフェード・イン。
どこまでイカしてるんだここは。

この日、シギー氏が押したシャッターは1000回あまり、とのこと。

来月の再会を約し、Yukotopiaを後にした。



[写真使用を快諾いただいたシギー吉田氏に感謝]

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