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ショート・ストーリィ「続 ロックンロールの処方箋」 

「悲しみよようこそ」でエレガントに唄い始めたPANTAは黒いジャケットといういでたち。
やはり35周年ということを意識してのチョイスだろうか。
それにしても発売時、ファンの間で大不評、不買運動まで発展したアルバムからの選曲と、
普段は黒いTシャツやラフな服装からすると、やはり本人曰く“天の邪鬼”なのである。

それだけではない、今夜のPANTAは何かが違う。
右手の人差し指を怪我したとのこと。
化膿した為、切開手術をしたという指の包帯には、血膿が滲んでいるのが見える。

「だから今日は、ギター弾かないでこのままやります。」

本当ならショックなことなのだろうけど、会場は驚くほど冷静だった。

ギターを持たない丸腰のPANTAが終始見られる。
それはそれで奇跡的なような出来事でもあった。

何しろ見てる自分でさえも、この場に居合わせていることが奇跡に近いことなのだから。

2曲目「反逆の歴史」で観客が立ち上がる。

「いつも狂犬のように吠えてるだけじゃなくで、
たまには自分の弱さを見せることができる、ってのが本当の強さってもんじゃないかな」

ハンドマイクを握る右手の包帯が痛々しい。
「屋根の上の猫」「マラッカ」「つれなのふりや」「BLOCK25」「ブーゲンビリア」など
35年間のソロ活動ならではのナンバーが、たて続けに演奏される。

4年ぶりのPANTAソロ。期待してた「ロックン・ロール・トリートメントは、とうとう奏らなかった。

階段を上り地上に出る。雨はやんでいた。
今日は処方箋、必要ないらしい。

そのせいか、門限が延びた。

そうだ、これから「STORIES」へレコードを聴きながらロックの話をしに行こう。

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